▼バックナンバー【Vol.1】『金融円滑化法下の中小企業の実態』
▼バックナンバー【Vol.2】『中小企業の金融環境に「合成の誤謬(ごびゅう)」が!』
▼バックナンバー【Vol.3】『疑問に答える!こういった企業はリスケジュールを継続すべき。』
▼バックナンバー【Vol.4】『リスケジュール継続企業―『不安定な安定』の危機管理』
▼バックナンバー【Vol.5】『リスケを継続してはいけない企業』が生き残る方法
▼バックナンバー【Vol.6】「返済ストップ」のための実務
▼バックナンバー【Vol.7】「返済ストップ」のための実務パート[2]
▼バックナンバー【Vol.8】「返済ストップ」からの再生実務パート[1]
▼バックナンバー【Vol.9】<中小企業生き残りの現実的な手段と、出口戦略>
▼バックナンバー【Vol.10】<中小企業生き残りの現実的な手段と、出口戦略>
▼バックナンバー【Vol.11】<中小企業生き残りの現実的な手段と、出口戦略>
▼バックナンバー【Vol.12】<中小企業生き残りの現実的な手段と、出口戦略>
■■■◆■ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 2012.09.20
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■■■ 生き残れ!金融円滑化法終了後の中小企業の窮地とその対策
◆■ 【Vol.3】
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■──────────────────── S.K.I.ビジネスパートナーズ
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まえがき:『金融円滑化法』の終了が来年3月に迫っています。
同法を利用して元金返済を棚上げしている
中小企業の借り入れ件数は延べ約300万件。
同法終了後には倒産企業続出といった見方もありますが、
果たしてどうなるのでしょう。
日々、中小企業の再生再編の現場で活動している
事業再生コンサルタント川原愼一とSKIのメンバーが、
その現実と中小企業の生き残り作戦についてお伝えしていきます。
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┗■ 【第3号:
┃ 疑問に答える!こういった企業はリスケジュールを継続すべき。】
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現在金融機関からの融資の返済を棚上げまたは減額(リスケジュール)して
いる中小企業の経営者の皆さんから、『金融円滑化法』が終了してもリスケ
ジュールを継続できますか?と良く質問されます。
そんな時は、「リスケジュールを継続することで資金繰りが安定し、金融機
関への元金返済も徐々に増やしていくことが可能であれば、今後もリスケジ
ュールは可能です」とお答えしています。
マスコミの報道によれば、現在リスケジュールをしている中小企業のうち、
本来の契約(約定返済)に戻って返済できる企業は約15%といわれていま
す。
残りの85%の企業は、リスケジュール継続への努力が生き残りのためには
必須です。
けれど心配には及びません。
現場で交渉に当たっている感触から言うと、メガバンクは基本的に、『金融
円滑化法』が終了してもリスケジュールをすることが合理的と認められる企
業に対しては、その継続を認める方向にあるようです。
しかし最も大切な事は、リスケジュール継続ありきではなく、その企業にと
ってリスケジュールが本当に妥当な策なのかどうかです。
私が考えるリスケジュールを継続すべき企業の要点は、
[1]この先もリスケジュールをすることで、安定した資金繰りが可能となる
[2]現在の債務総額が将来の経営計画上妥当な額である
[3]新たな資金調達の必要性がない
[4]事業再編などのドラスティックな手法を用いることより、リスケジュ
ール継続が妥当と判断される
おおよそ、こういったポイントに収斂(しゅうれん)されるでしょう。(現実
的には各社ごとに事情が異なりますので、デューデリジェンス(財務精査)
が必要となります)
仮に上記4点に疑問符がつく企業は、リスケジュールに変わる次の対策に切
り換えたほうがいいというケースもあります。(そのことは、メルマガ4号
以降で詳報しましょう)
さて、リスケジュールを継続すべき企業が金融機関と向き合う時に必要なこ
とがあります。それは、
メルマガ1号(→ https://www.skibp.co.jp/merumaga.html)
でも書きましたが、金融機関に提出を求められる『実抜計画』や『合実計画
』と呼ばれる経営改善計画を、経営者自らが脳味噌に汗して書き上げ、現実
に即したこれからの経営の道しるべとすることです。
この計画書作りを外部の会計専門家や、我々のようなコンサルタントに丸投
げしているようでは今後の改善は難しくなります。
地域の金融機関の中には、平気で「外部の専門家に作成してもらってくださ
い」と言っているところもあります。メガバンクでも、専門家(会計事務所
等)を紹介したりもしています。
けれど今後のことを考えれば、決して丸投げするのではなく、専門家と共に
時間と労力をかけて、その内容に経営者がコミットできる経営改善計画を策
定することが必要なのです。国(金融庁)も、予めつくられた雛形に改善計
画を押し込んだ『テンプレート化』には公式に懸念を表明しています。まさ
に慧眼です。
こういった条件を整えてリスケジュールを継続すべき企業は、別掲(※1)
にあるように元の契約(約定返済)に戻って返済するのではなく、業績の回
復に合わせて次第に元金の返済額を上げていく返済計画を立てて取引金融機
関と交渉すべきです。
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別掲(※1)
●リスケジュールの基本
●合実計画によるリスケジュール
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ただ、借り入れの内容によって、以下のように交渉の順番や内容に工夫が必
要です。
[1]メインバンクがはっきりしている企業は、メインバンクとの折衝が重
要になるのは言うまでもありません。メインバンクの承諾なしにサブ
バンク以下の金融機関と折衝しても、相手はまずはメインの承諾を取
ってくださいと言うはずです。
また取引している各金融機関の担保の保全状態と融資の内容、財務状
況とリスケ企業への施策など、様々な情報を集約、検討する必要があ
ります。
[2]保証協会付融資については金融機関にリスクはなく、リスケ継続で金
利を受け取ることができるのだから金融機関はリスケジュール継続を
容認するはずです。
[3]不動産担保での融資は、その不動産の実勢価格を改めて確認して、融
資の残高が担保でカバーできているかを調べてください。担保できて
いないのなら、おおよそ幾ら位のアンカバー(担保でカバーできてい
ない融資残高)があるのかをしっかり認識しましょう。場合によって
は、その分だけは一括返済を求められる可能性もあります。
[4]無担保融資(例えばビジネスローン)については、その金融機関がど
ういった方針で回収しているのかなどの情報が欲しいところです。時
には保証会社が別の機関であったりすることもあり、それが何を意味
するのか知っておくことも大切です。(数は少ないのですが、民間の
金融機関などが保証している場合もあり、リスケジュールにはこの保
証会社の承諾も必要です。)
金融機関は、残念ながら企業やあなたのことを考えているわけではあ
りません。担当者は組織人ですから、その案件について上司や本部に
如何に報告できるか、稟議書をどう書くか「だけ」を考えながら皆さ
んの前に座っています。それが現実です。
だから金融機関は、こちらの都合では動きません。金融機関から、あ
なたとあなたの会社がどう見られているかを知ることが折衝の鍵とな
ります。
また国(金融庁)は、各金融機関に対して、取引中小企業へのコンサルティ
ング機能を強化せよと通達しています。
勿論、各金融機関がコンサル機能を発揮して、各企業の財務内容を良化して
くれるのであれば、こんなにありがたい話はありません。
ところが実際は、債権者が債務者に対してコンサルティングをすれば、その
企業からいかに早く返済してもらうかという「回収目的」になることが現実
です。
金融機関が本気であなた企業の将来を考えるかは大変疑問ですが、皆さんは
どう思われますか?金融機関にコンサルティングしてもらいたいと考えられ
ますか?
次号4号では、リスケジュールを継続する企業の「危機管理」についてお伝
えします。
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