▼バックナンバー【Vol.1】『金融円滑化法下の中小企業の実態』
▼バックナンバー【Vol.2】『中小企業の金融環境に「合成の誤謬(ごびゅう)」が!』
▼バックナンバー【Vol.3】『疑問に答える!こういった企業はリスケジュールを継続すべき。』
▼バックナンバー【Vol.4】『リスケジュール継続企業―『不安定な安定』の危機管理』
▼バックナンバー【Vol.5】『リスケを継続してはいけない企業』が生き残る方法
▼バックナンバー【Vol.6】「返済ストップ」のための実務
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▼バックナンバー【Vol.9】<中小企業生き残りの現実的な手段と、出口戦略>
▼バックナンバー【Vol.10】<中小企業生き残りの現実的な手段と、出口戦略>
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■■■◆■ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 2012.11.05
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■■■ 生き残れ!金融円滑化法終了後の中小企業の窮地とその対策
◆■ 【Vol.6】
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■──────────────────── S.K.I.ビジネスパートナーズ
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まえがき:『金融円滑化法』の終了が来年3月に迫っています。
同法を利用して元金返済を棚上げしている
中小企業の借り入れ件数は延べ約300万件。
同法終了後には倒産企業続出といった見方もありますが、
果たしてどうなるのでしょう。
日々、中小企業の再生再編の現場で活動している
事業再生コンサルタント川原愼一とSKIのメンバーが、
その現実と中小企業の生き残り作戦についてお伝えしていきます。
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┗■ 【第6号:「返済ストップ」のための実務
┃ ―ゾンビ企業ではなく再生企業、倒産予備群でなく再生予備群!への道―
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金融機関への返済をストップするとどうなるのか?
知識も準備もなく返済ストップを実行することは自殺行為です。
その対応の基本は、「相手(金融機関)はこちらをどう見ているのか?」
金融機関がどういうタイミングでどういうこと(例えば督促状郵送とか、競
売開始とか)をやってくるのか、良く知らなければなりません。
一般的に金融機関やマスコミは、返済ができなくとも事業を継続している企
業を「ゾンビ企業」または「倒産予備群」とも呼んでいます。
私はこの言葉が大嫌いです。上から目線の物言いだからです。
企業とは、働く人達の集合体です。頑張っている中小企業経営者とその従業
員、家族はゾンビなのでしょうか?この言葉に嫌悪感を超えて怒りさえ感じ
ます。
また倒産予備群という呼び方にも賛成できません。再生・再建の可能性が少
しでもある企業なら「再生予備軍」と呼ばれるべきです。
もちろん資本主義経済下では、多かれ少なかれ倒産はあります。
しかし金融機関が金利収入欲しさに貸し付けておいて、返済できなくなると
お客様を倒産予備群などと言い放ってよいのでしょうか?そもそも、数多の
企業を苦しめるこの20年間続くデフレは、中小企業の責任なのでしょうか?
―――、いやいや、ちょっと力が入りすぎました。クールダウンして実務の
話にもどりましょう。
[1]第3者連帯保証人とのコミュニケーション
返済ストップの前の準備は、まず第三者連帯保証人のケアです。
危機的な企業の再建や事業再生の相談でよく感じるのが、第三者連帯保証人
に対する意識と知識の欠如です。
私達再生コンサルタントは、リスケジュールするにしろ返済をストップする
にせよ、まず第三社連帯保証人への影響を考慮します。
これから返済ストップしようとする融資案件に対して、自分を除く第三者連
帯保証人を付けているのか?いるならその人はどの様に生計を立て、どのよ
うな資産があるのか―――それらをまず良く調べることです。
そして返済ストップする前に、第三者連帯保証人とのコミュニケーションは
非常に重要です。
連帯保証人には、「主債務者(返済できない企業の事業主)」が返済ストッ
プすれば、時を置かずに金融機関から連絡が入ります。その時に初めてその
企業の窮状を知るということでは、事業主との信頼関係が危うくなります。
またあなたが第三者連帯保証人の場合、『迷惑は掛けないと言ったじゃない
か』とか『判子を押すだけと言ったじゃないか』など主債務者をなじっても
何も解決しません。
もちろん私はこの悪しき奴隷制度には反対ですが、(このメルマガではこの
問題は深く語ることはしませんが)連帯保証人として署名・捺印した事実が
あるのなら、自らの責任と受け止め、事業主と共に対処・対策を考えるべき
です。
それが問題の解決に最も有効なのです。
主債務者(事業主)からではなく、最初に第三者連帯保証人から私どもにご
相談を受けるケースはめったにありませんが、経験からいえば、第三者連帯
保証人の意識が高いケースは再生が順調に進むことは間違いありません。
[2]銀行口座
私の経験で一度だけこんな事がありました。
返済ストップを決断したA社長が、ストップした翌日に相談に来られました。
私が面談室に入ると、A社長の後ろに大きな荷物がありました。
『どうされました?』、とお聞きすると、
『抵当に入れた自宅はすぐに競売されると思って、相談してもだめならこの
まま夜逃げするつもりです』、とのこと。
私は思わず噴出しそうになりましたが、A社長の目は真剣そのものです。
私はA社長の気持ちを慮ってすぐに、『万一ご自宅の競売が進んでもまだま
だ時間が掛かりますから、暫くは安心して暮らせますよ』と、お話ししまし
た。するとA社長は『ふーっ』と大きなため息をつかれて、肩から重い荷物
を降ろされたようでした。
このように、金融機関に返済をストップしても、すぐになにかが起こること
はないと考えるべきです。(街金・闇金などは別です)
ただし、使っている銀行口座には課題があります。
返済と同一の口座に売上等の入金がある場合、残高があれば通告なしに返済
として引き落とされてしまいます。
『事前に取引先には借り入れのない銀行口座への振込みをお願いすること』。
『公共料金等の自動引き落としも別口座にすること』。
電話・電気その他公共料金は同一口座からの自動引き落としではなく、新口
座開設が間に合わなければ、しばらくは振り込みで対応する等の銀行口座対
策が必要です。
それが、『出るを制して、入るを図る』の基本です。
[3]返済ストップの銀行交渉
返済ストップに際して銀行とどう交渉するか?――ここは緊張する場面です。
まずは、返済日4−7日前ぐらいに担当者に連絡をいれます。
『資金繰りがおもわしくないので、次の返済はできないと思う』と、はっき
り告げてください。『できないかもしれない』等の曖昧ないい方では意味が
ありません。
返ってくる答えは、『社長 そんな事を言わずに頑張ってください!』
だいたいこんな内容です。返済日前であれば銀行担当者としては、こう言わ
ざるをえないのです。
この通告は、返済をストップした後、担当者から
『社長 返済引き落としができませんよ』
と連絡があった時に、
『だから資金繰りがおもわしくないので次の返済はできないと連絡したじゃ
ないか』
と答えるための、いわば前振りです。
あまり返済日より前に連絡しても、担当者が忘れてしまったら意味がありま
せん。事前連絡の記憶があるようにするのが秘訣です。
そして返済スタップしたあとで、銀行に出向いて状況を報告します。
この時のポイントは資料です。
前にも触れましたが、応接室で応対してくれる担当者は、経営者の顔は見て
いても頭の中ではこの事態をどう上司や本部に説明するか、行内でどう説明
するかばかりを考えています。口頭の説明だけでは、支店長や融資課長に対
して仕事をしたことにならないのです。
資金繰り表や試算表、それに売り上げ予測など、今後の返済原資が出ないこ
とを裏付ける資料が重要です。
それらを提示してしっかりと経営状態を説明すれば、担当者は『それなら仕
方がないですね』とは言わないまでも、『まめに今後も報告してください』
と言ってくるのが一般的です。
いかがでしょうか。次号では「返済ストップでなにが起こるか、パートU」
をお送りします。
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