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■■■  新たな時代の事業再生実務『中小企業のM&Aとは』
◆■                         【Vol.1】

■──────────────────── S.K.I.ビジネスパートナーズ

  皆さん大変ご無沙汰しました。
  昨年8月から2月にかけて全12回のメールマガジン
  『生き残れ!金融円滑化法終了後の中小企業の窮地とその対策』
  をご精読ありがとうございました。
 
  4月に入り、金融円滑化法終了後の金融環境をみていると、行政指導により
  中小企業の資金繰りについては銀行を始め多くの金融機関が協力体制を保ち、
  たくさんの相談窓口が全国に設けられました。
  事業継続を図る為の環境づくりは、資金繰り対策については充実していると
  思われます。
  そんな中、時代の変遷と共に、政府が打ち出した『アベノミクス』が中小企
  業に新たな経営判断を迫っていると感じています。政府の主張は、
 
  [1]黒字企業であれば、資金繰り(いわゆるリスケジュール)については、
  国をあげてサポートします。
  [2]赤字企業であれば、廃業・転業を進めてください。(政府は退出企業と
  表現しています)個人補償や担保に入れた自宅についても、いきなり債権者
  (金融機関)が取り上げないよう指導します。
  というメッセージです。

 これは、事業再生に12年間係ってきた私にすれば本当に大きな変化です。
  かつては、事業再生の第一歩としてリスケジュールを行うにも厳しい金融機
  関交渉が必要で、個人補償については、廃業でもすれば担保不動産は当然の
  ように任意売却か競売が進行していました。第3者連帯保証人にも、債務者
  と全く同じく厳しい取り立てが行われるれ、返済を絶対とする中小企業の事
  業主は、商工ローンや消費者金融にまで借入を起し、不良債務の連鎖に巻き
  込まれていったのです。
 
  今では悪性な借入は影を潜め、多重債務という言葉も死語となりました。ま
  さに事業再生の新時代です。しかし全てがうまくいくというわけではありま
  せん。
  それは、事業は黒字でなければならないということです。あまりに当たり前
  すぎますが、赤字体質から抜け出せずに、時間だけが経過し、資金を枯渇し
  ていく中小企業が今でも多く見かけられます。
  支援機関や金融機関に資金繰りについての助言や、理解を求めることはでき
  ても、赤字を黒字に変えることは事業主にしかできないことです。
  しかし、『アベノミクス』の経済下では、金利高、材料高、販管費高が中小
  企業を襲っています。簡単には赤字の事業を黒字化することはできません。
  自社が自力でこの難題を克服することができない時、検討してみる価値があ
  る最終兵器―――それが「M&A」です。
  特段新しいテーマではありませんが、自社はM&Aができるのか?実際にM
  &Aをするとなると、何から手を付けるべきか?わが子のような会社を他人
  に譲るのか?など様々な疑問が湧いてきます。
  このメールマガジン第2弾では、赤字企業の最終兵器ともいうべきM&Aに
  ついて、私が経験してきた実例をご紹介しながら、成功するM&Aについて
  お話して行こうと思います。
 
  書店にはたくさんのM&Aに関する本が並んでいますが、難しい専門用語を
  前にして、読もうとしても腰が引けてしまう方も多いはず。また中小企業の
  事業主の方には、M&Aは自社には無関係な事と考えている方も多いはずで
  す。
  このメールマガジンでは、売り手の立場に立って、債務超の中小企業が何の
  為に、どうすれば最適なM&Aが可能になるのか、なるべく解りやすく易し
  くお話ししていこうと思います。
 
  〜一番重要な事は〜
  M&Aは手段です。
  M&A後に自社と事業の内容と形をどうすべきか?それが最も重要です。
  売り手がM&Aを考えるとき、『いくらで売れるの?』とまず考えるようで
  す。
  市場価格が無いに等しいM&Aでは、確かに売値がまず疑問に思われるので
  しょう。売り買いのことですから、当然の事と思います。
  しかし、債務超過の中小企業が事業再生の最終兵器としてM&Aを実行しよ
  うと計画する時、売値よりも前にM&Aを実行した後の従業員の雇用、事業
  の姿、お客様取引先との関係、残った債務の問題、自宅の事などについて、
  どうしていくことがベストかよく考えておくことが必要です。
  優先順位としては、最初に従業員です。債務超過の企業がM&Aをする時に、
  いわゆる利害関係人(ステークホルダー)にタイミングを計って、その目的
  を説明しなければなりません。従業員にも、仕入れ先にも、お客様にも、取
  引金融機関にも『雇用の可能な限りの継続』こそが、M&Aの錦の御旗なの
  です。
  ―――このままでは破たんしてしまうと考えた結果、『雇用の可能な限りの
  継続』を図る為にM&Aを企画立案しました。
  と、説明することが利害関係人(ステークホルダー)の理解(というより反
  対がないよう)を得るポリシーとなりえるのです。
  特に取引金融機関にとっては、現在でも厳しい返済についてM&A後はより
  一層売上が減少し、返済は一層厳しくなると考えるのが一般的です。
  しかし冒頭お話ししたように行政の指導もあり、中小企業の事業再編につい
  て金融機関の理解を得られやすい環境にあります。
  資金繰りが切迫する前に、M&Aの選択を考慮することが私達中小企業にと
  って重要なことになってきています。
 
  次回は債務超過の中小企業がM&Aを考えて行く時に、どのような事に考慮
  する必要があるかなどについてお話していきます。


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