前略、震災後早くも2ヶ月が経過しました。被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。
またこの震災が中小企業の経営に及ぼす影響も、少しずつではありますが見えてまいりました。節電、材料・資材の不足、自粛ムードなど直接震災の被害を受けることがなかった企業にも、これらから売り上げ・収入の減少が懸念されています。
私どもにもこの2次、3次的な被害について如何に考え、準備すべきかのご相談が寄せられております。そこで5月のセミナーと6月のセミナー(6/23予定)
の2回で売り上げ・収入の減少リスクに備える具体的な方法について、お話させていただくことになりました。
記
【震災後これから本格化するお金の危機管理と対処法】
1.販売管理費の流動費化と収入の推移を把握する
2.バーンレート(Burn Rate)を掴んで危機に備える
3.バーンレートの形で対策を練る
4.判断基準を事前に設ける
東日本大震災が発生して既に2ヶ月半ほどが経過しました。
経済面においても、被災地を中心に日本全体に甚大な被害が広がっています。地震・津波の直撃によって事業停止に追い込まれた企業、サプライチェ−ンの寸断によって操業を縮小した企業、また、風評被害によって出荷が滞っている企業など、中でも外食産業などの生活関連サービス産業への影響が大きく、自粛ム−ドはやや収束しつつあるとは言え、売上は前年比で大きく落ち込んでおります。4月はさらなる影響が出たものと思われます。
売上の減少は当然損益に大きな影響を及ぼしますが、それ以上に資金繰り(キャッシュフロ−)に多大な影響を与えることとなります。
企業には売上の増減に関わらず発生する費用(固定費)があります。そのため、売上の回復がないままに手持ち資金が費消され、ついには底を尽いて「燃え尽きて」しまう。
このことを専門用語で「バ−ンレ−ト(Burn Rate)」と言います。
「バーンレ−ト」とはベンチャ−ビジネスでよく使われる言葉で、1ヶ月にどれくらいのお金が失われるか、現状を手元資金で何ヶ月維持できるかを表すものです。
損益とは別に、事業の継続期間の推定に重要な指標として使われます。
震災前の水準に回復するのが見通しにくい情況にありますが、こうした危機にどのように対処していくのか求められる重要な課題です。
「危機に対する対処法」として「損益分岐点分析」が重要と考えています。
損益分岐点を低く誘導することによって、経営に幅を持たせることが可能だからです。
損益分岐点を低く誘導することによって、経営に幅をもたせることが可能だからです。
固定費が少ないほど損益分岐点は下がりますが、業種、部門、商品あるいは地域などによって異なりますので、分析単位を定めることが重要です。
先日、被災地のある保育園で園児の犠牲者が一人も出なかったことが報じられました。
まさに、保母たちの日頃からの「危機管理」に対する強い意識の成果あったと思います。
事前に現場を調査し、弱者である園児にとって最適な場所か、避難ルートに障害はないか、最短で容易なルートかなどのシュミレ−ションを行っていました。
そして、発生時においては「スピ−ディ−」な判断のもと速やかに行動に移しました。
こうした日頃からのリスクに対する意識の高さが、一人の犠牲者も出さなかった要因と思われます。
企業においても予測されうる危機に対し事前に解析し、対処法を練っておくことが重要です。
T.シュミレ−ションによる事前準備
U.判定基準の策定
V.柔軟な対応
景気の回復は今年の秋口から言われておりますが、「売上の回復」と「収入の回復」には時間差が生じます。また、費用は売上の回復に先行して生じます。
その結果、売上の回復までに資金が追いつかなかったり、「バーンレ−ト」が増加する事態が生じたりして、最悪、黒字倒産の憂き目にあうことがあります。